| 第30回起業家・投資家・専門家お見合い交流会を開催しました!

講演

『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』  講師 出雲充氏(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長)
第30回起業家・投資家・専門家お見合い交流会

<内容>

今回お話ししたいことは,「ひとつのことで起業する出会いについて」,「ミドリムシを社会認知させる」「起業・投資・専門家により地域活性化を」です。
大学1年にバングラデシュを訪れて,栄養失調の子供を目のあたりにして,世界で約10億人いる栄養失調の子供たちを救いたいことが起業するきっかけとなった。帰国後,勉強していくうちに動物と植物の両方の特徴を持つ「ミドリムシ」が,栄養問題を解決出来るものと考え,大量に安定的に培養・供給する技術の研究を続け学生ベンチャーとして創業した。

創業していく上で,2つの大きな課題を解決する必要があった。「ミドリムシ」と聞いて,虫の一種と誤認されていることを栄養価の高い藻類であることを認知させたい。ミドリムシを大量に培養するにあたり雑菌もミドリムシを食べるため難しさがあった。雑菌を防止することは無理だと判断して,ミドリムシ以外は毒となる培養液を発見して解決した。
2050年には,人口が100億人となり食糧問題が予測される。これを解決するにはミドリムシで世界を救うものだと確信した。
バイオ燃料としてトウモロコシ農家は,本来食糧用から燃料用として出荷し潤っている反面食糧問題に拍車をかけている。ミドリムシ燃料は,農地を奪うことはしないで,砂漠や海洋など農地として適さないところで作ることを提案している。

2006年1月ミドリムシ・ビジネスで株式会社ユーグレナを創業した。創業当時は「ミドリムシの採用実績はどうなっているの?」「他社がもし採用したらまた来てください」と各社を回っても相手にしてもらえなかった。最初から、上手くいくとは思ってなかったが100社プレゼンしたら、1社ぐらいは買ってくれると思っていたが,2年で500社まわっても結果はゼロだった。 3人で1,000万円出し合って起業したものの,毎月の人件費が40万円(給料は出雲さん10万円、残り2人が15万円)。2年間で資金も尽き廃業を考えていた2008年5月,伊藤忠商事からオファーがあった。出雲さんは他社と同様に採用実績がないので購入しないものと思っていた。ところが,伊藤忠商事からは「ミドリムシは聞いたことがない。他社が手を付けないことがビジネスチャンスだ。」と回答があり,ビジネス・パートナーとして開発をすすめた。
伊藤忠商事が話をすると,どこも話を聞いてくれ購入もしてもらった。だんだんビジネス・パートナーも日立,いすゞ,ファミリー・マート,デンソーと増えていった。

2014年12月3日、東証一部に上場することができた。9年間で社員は3人から190人になった。資産価値も1200億円になった。 広島の地でもベンチャーを育成してもらいたい。是非,投資家や専門家は若者や学生に育成,支援をお願いする。

「わたしは広島県の○○の分野で一番」となるようになること。富士山の次に高い山は北岳,琵琶湖の次に広い湖は霞が浦であるが,知名度はない。一番になることに価値があり二番では存在しないのと同じ。
試行回数×科学技術で奇跡的なイノベーションが生まれる。たとえ成功率が1%であったとしても、100回挑戦したら63.4%、459回挑戦したら、99%成功する。

2015年第一回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」を受賞した。
2015年12月より「国産バイオ燃料計画」を横浜市や全日空などとスタートさせた。2020年には必ず実用化をさせて飛行機の機長アナウンスで「当機はミドリムシの国産バイオ燃料で飛行しています。」と必ず言わせます。広島からもベンチャーがどんどん育っていくことを期待します。

[Q&A]

Q:最初から500回挑戦したら成功すると思っていたのか?
A:知らなかった。知っていたら気が遠くなり大変でベンチャー起業はしていなかったと思う。モチベーションを高めて続け
たことで成功したと思う。
広島の投資家,専門の方々ひな鳥を気持ちが折れないよう温かく見守り支援をお願いします。

Q:バイオ燃料の開発状況は,富士山でいうと何合目あたりか?
A:富士山でいうと6から7合目である。大学での開発では技術的には出来上がっているが,設備が小さいため量を生産でき
ない。ビジネスに乗せるにはどうしても政府や企業の支援が不可欠である。